〜ミルフィーユ〜

 

数日後

 

私たちは予定通り騎士団に入り旅を始めている

 

このキャラバンは結構大きいらしく、馬車もなんと8台ある

 

大きくても5台くらいが普通のキャラバン

 

人数は多くて約50人、でもこのキャラバンは約80

 

馬車一台に約10人の部屋がある、部屋と言っても壁も無ければ境界線もない

 

でも荷物と5人くらいしか馬車の中に入らず後の人は見張りか外で寝るしかない

 

移動の際、交代で馬車の中で休んだり外を歩く事になっている

 

そして今は馬車の中で休んでいる

 

「ねぇミル、そこのお菓子ちょーだい」

 

ミントが私の横のお菓子をねだってくる

 

「ダーメ、太っちゃうよ」

 

お菓子の袋を手で制しながら言う

 

「いいのよ、さっき歩いたばっかりじゃない」

 

起き上がってお菓子の袋を取ろうと手を伸ばす

 

私はお菓子の袋を自分の後ろに隠し言葉を発する

 

「それでもダメ、今日はもう一杯食べたじゃない」

 

お菓子の袋を道具袋の中に入れる

 

「え〜、でも〜〜」

 

ウルウルした目で私を見てくるけどそんな事は日中茶番

 

「ダーメ」

 

人差し指と人差し指で小さなバツを作り渡さないと言うことを視聴する

 

「ケチー!ケーチケーチケチケチミルルーー」

 

適度な声でそう叫びながら私を見る

 

私は普段いろんな人にミルフィーユと言うのは少し言いにくいので

 

『ミル』と呼ばれている

 

初めはパールさんが呼び出して、ミントが呼び出して

 

段々お城でもその愛称が使われるようになった

 

「なんていってもダメ、また明日ね」

 

私は元居た席で『プリーストの魔法』と言う本を読む

 

魔法の事を詳しく知る事で魔法の効果を高める事ができるらしい

 

実際魔法の仕組みを知ったおかげでコツが掴めたような気がする

 

「そう言えばさぁ、ミルってなんで即席入団届を何枚か持って来たの?」

 

「え?」

 

見られていた・・・・・

 

即席入団届とはこの『聖・マクタイン騎士団』の即席で入団できる紙の事

 

これがあれば名前を書くだけで即座にこの騎士団に入団できる

 

もちろん理由は彼のため

 

無くしたらいけないのであるだけ持ってきた

 

「もしかしてさ〜」

 

なにやらニヤつきながらミントがこちらを覗き込んでくる

 

「こないだの襲撃事件のときに抱き合ってたの彼のため?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・見られていた

 

いや、見られないほうがおかしい

 

城の中でたくさんのモンスターを倒して堂々と抱きしめてもらっていたのだから

 

きっと2,3人見ていてお城中の噂になっていただろう

 

「やっぱり〜、顔真っ赤だよ?かわいー」

 

その後も散々からかわれた