〜ミルフィーユ〜

 

 

 


私は勇者、剣も扱えないマジシャンの勇者

 

 

 


勇者は生まれてくるときに魔石持って生まれる

 

 

 


それが私だった

 

 

 


私はコックさんからもう水がないと言われ水を探していた

 

 

 


そしてこの城には地下水があることを思い出し地下に向かった

 

 

 


地下に行くのは恐かった

 

 

 


暗いし魔物が出るというウワサもあった

 

 

 


でも水がないとみんな死んでしまう

 

 

 


勇気をふりしぼり地下に行き、水が通っている部屋の扉を開けると

 

 

 


とても恐い目をして剣を構えた男の人が居た

 

 

 

 

彼の目は澄んだ黒色していた

 

 

 

 

 

黒い目は珍しい、特にこんな澄んだ黒いろは・・・・・

 

 

 

 


彼は私を見るととても穏やかな目になり剣を納めた

 

 

 


私は何て声を掛ければいいか分からなかった

 

 

 


「え・・・っと、あの、その」

 

 

 


一瞬言葉を何も思い出せなかった

 

 

 


すると彼は後ろの何個もある大きな袋からパンを取り出し

 

 

 


「食う?」

 

 

 


と聞いてきた、何でパンがあるのかも分からないし

 

 

 


自分だけ食べるわけにはいけないとわかっていても

 

 

 


空腹には勝てずコクリとうなずき彼のとなりに座る

 

 

 


彼からパンを受け取り食べる

 

 

 


久しぶりのまともな食事だ

 

 

 


「あの、ここでなにを・・・」

 

 

 


気になったことをまず一つ聞く

 

 

 


恐らく後ろの大量の食料を取られないためだと思う

 

 


でも彼は水を飲みながら

 

 

 


「子供の親ごっこ」

 

 

 


と言った、何のことだか分からなかった

 

 

 


でもすぐに『クスクス』と笑い声が聞こえて、10才くらいの男の子が見えた

 

 

 


きずかなかった、よく見ると彼のひざの上に8才くらいの女の子もいる

 

 

 


それだけかれのことを気にしていたのだろうか

 

 

 


「君こそ何やってんの?一人で歩いてたら襲われちゃうぜ?」

 

 

 


と、彼は笑っていった

 

 

 


「え、あ、その、ココの水は飲めるかも知れないから・・・」

 

 

 


なんだか目を合わせるのが恥ずかしくて目線を逸らし答える

 

 

 


「無理無理、ココの水なんて飲んだら腹痛になるって」

 

 

 


彼は言った、何で分かるのかは分からないけど信じることにした

 

 

 


「そうですか・・・」

 

 

 


そして少し後悔した、なんだか自分のためだけに動いている女に思われるかも知れない

 

 

 


「るん、るんるんるるるん♪」

 

 

 


彼は何の歌か分からないけど鼻歌を歌いながらひざの上の少女の頭をなでていた

 

 

 


「兄妹ですか?」

 

 

 


恐らく違うと思う、

 

 

 


何でかわから無いけど雰囲気が違う

 

 

 


「いや、お友達、なっ!」

 

 

 


彼はとなりの少年にウインクしながら言い、少年は

 

 

 


「はい、そうですね、お友達です」

 

 

 


と、笑いながら言った

 

 

 


「そうです・・・こほっこほ!」

 

 

 


パンがのどにつまった

 

 

 

 


彼はすぐに背中をさすってくれて水までくれた

 

 

 


私は水を一気に飲んでしまった

 

 

 


しまった、おかげでパンは流れたが水はなくなってしまった

 

 

 


「すみません」

 

 

 


水を一気に飲んでしまったはしたなさに顔が赤くなる

 

 

 


「いえいえ」

 

 

 


笑顔でそう言ってくれる彼のやさしさにますます顔が赤くなり

 

 

 


背中から離れた温もりが少し寂しく

 

 

 


そんなことを考える自分にまた赤くなり

 

 

 


そういえばこのボトルはさっき彼が使っていたものだと思いだしさらに顔が赤くなる

 

 

 


こんなユデダコみたいな顔を見られたくないので話題を変えることにした

 

 

 


「あの、何でそんなに大量の食べ物が?」

 

 

 


話題を変えるために言ったことが一番聞きたいことだった

 

 

 


彼はなんだか聞かれることを予想していたのかすぐに答えてくれた

 

 

 


「オレの家は山の方にあって、今日は1年ぶりの買い出しにきたんだ」

 

 

 


・・・・・なんだかちょっと無理があるような気がした

 

 

 


コレがウソでも買い出しに来たのはホントだろう

 

 

 


何処かのキャラバンの人間だろうか

 

 

 


「そうなんですか、災難でしたね」

 

 

 


しまった、なんだか素っ気なかったかも知れない

 

 

 


彼の顔色を少し確認しながらパンにかじりつく

 

 

 


あ、そうだった、水と食料分けてもらわないと

 

 

 


でも言い出すタイミングが見つからない

 

 

 


普通は分けてくれる訳がない、みんな自分が大切だから

 

 

 


でも彼なら、と言う無駄な期待から

 

 

 


「あの、他のみなさんにも食べ物を分けてあげてもらえませんか?」

 

 

 


と言ってしまった

 

 

 


彼は前を向いたまま迷惑そうな顔をしてこっちを向いた

 

 

 


迷惑そうな顔をした時はもうダメかと思ったけれど

 

 

 


こちらを向いてくれたので思いっきり真剣な目で彼を見た

 

 

 


彼は表情を変えず私の目をジッと見る

 

 

 


私も目を放さない、でも彼の目をジッと見ているとなんだか集中力が無くなってくる

 

 

 


なんだか顔が熱くなり、目ももう真剣とは言えないと思う

 

 

 


でも彼は顔色を変えずにただ単に私の目を見つめてくる

 

 

 


これ以上見られたらおかしくなりそう

 

 

 


それ以前に恥ずかしさのあまり倒れてしまうかも知れない

 

 

 


「はぁ、わかった」

 

 

 


彼のその言葉で我に返った

 

 

 


「あ、はい・・・」

 

 

 


危なかった、本当に・・・・・

 

 

 


でも少し残念、もう少しあの状態で居たらどうなっていたのだろう

 

 

 


彼は大きな袋を軽々持ち上げ私の前に置いた

 

 

 


「ありがとうございます」

 

 

 


コレでお別れだと思うと返事も素っ気なくなってしまった

 

 

 


私は大きな袋を全て持ち・・・・・

 

 

 


「・・・わぁっ」

 

 

 


だれかを呼んできたらよかったのだけれど

 

 

 


あえて自分で持ち上げようとした

 

 

 


そうすればきっと彼は送っていってくれるから

 

 

 


私の予想どおり彼は私を兵士さんが居るところまで送っていってくれた