その日から毎日この地下に彼女は来るようになった
「食料はあとどれくらい在るわけ?」
となりでパンにかじりついている彼女に聞く
「栄養剤はまだ十分あります、でも、えっと」
「ああ、カインでいいよ」
「あ、はい、カインさんがくださった食べ物はもうあまりありません」
だろうな、あれだけ人が居るんだ
オレ達の分ももう差ほど無い
「え・・・っと、わ、私のことはミルフィーユって呼んで下さい」
少女は顔を赤らめながら言う
聞いてないんだが、まぁ何時か聞く事になるだろうしいいか・・・
「はぁ、もしかして助けを待ってる?」
背中にヒンヤリとした壁の感触がある
「あ、はい、ランスロット国から助けが来るはずなんですけど・・・」
ランスロット国、人間の土地で一番大きな国
オレの推測が合っていれば・・・
いや、オレは関係ないな、ってか面倒だ。・・・・・でも
上から声がする
「助けが来たぞー!」
・・・・・遅かった
「助けが来ましたね」
「・・・・・」
兄が言う
オレの真剣な顔に気づいたのかミルフィーユが顔をのぞきこんでくる
「どうかしたんですか?」
「・・・ここから離れろ」
「え?」
「走れ!!」
妹と兄とミルフィーユを連れて上へ上がる
「ど、どうしたんですか?」
走りながら聞いてくるミルフィーユ
オレは答えてやることにした
「何で今まで魔物がココを攻めなかったと思う?」
「え?」
「ドアを破ろうとすれば出来たはずだ、でもやらなかった」
ミルフィーユは真剣に聞いている
こんなに階段は長かっただろうか?
「その魔物達の上にたつ物の命令だよ」
魔物の群れには、まれに理性を持った魔物が居る
そいつがその群れの長になる可能性が高い
やっと一階の廊下に出れた、
「魔物の群れの目的は何だと思う?」
歩きながら聞く
「え?人間を食べ―――――――」
「違うな、それならとっくにやっているさ」
ミルフィーユがしゃべっていたが話をとぎった
「・・・人間の滅亡?」
「おしいな、ココを侵略しただけでは無理だろ?
簡単に答えたらこの町の占拠だ」
コレにはミルフィーユが驚いている
「で、でも・・・」
「占拠するにあたって門の破壊などはしたくなかった、
だからある作戦に出た、人間を城に閉じこめてからの飢え死に」
「え?」
「だが予想外のことが起きた、丁度輸入品の栄養剤がこの城にあったこととオレの食料
それにより、イラダチも飢え死にもかなりの時間稼ぎになった」
ミルフィーユは黙ってオレの話を聞いている
「コレには町にいる魔物がイラダッテ来て作戦が思い通りに行かなくなる
・・・だが、好都合なことが起きた
ランスロットの助けだ、」
「え?な、なんでですか?助けが来てしまえば魔物側は不利に・・・」
「助けが来れば士気が上がり兵士たちはどうする?
この城は今どうなっている?」
「あ、」
そう、助けが来ればもちろん兵士たちも外に出て戦う
この城に兵士が居なくなるわけだ
「そう、魔物達はこの時を待っていた、まず城を占領する気だ
門を潜る以外に城に入るルートは2つ、一つ目は空から来る事
それでは外の大量な兵士たちに見つかってしまう
残るルートは一つ、・・・地下水道」
「!!」
そう、オレ達がさっきまで居た場所だ
「手順は簡単、地下水道から魔物を城に潜入させて城の門を閉める
その後兵士たちが外の魔物を全滅させても城には入れない
そしてこの城にいるのは国民と王。
王と国民は人質になる
その後はどんなに残酷な手段でも99%成功するさ」
「そんな・・・」
2階に上りココで足を止める
オレはふり返りミルフィーユに向かって言葉を発する
「ここからは君達が決めることだ」
「え?」
オレの真剣な目にきずいたのかなぜか顔が真剣だ
「ココに残るか、ここから逃げるか」
「え、・・・・・それってどう言う――――――」
「隠したかったみたいだがもうきずいてる。君は勇者だろ」
ミルフィーユは驚いている
きずかれているとは思ってなかったのだろう
「・・・はい」
少しうつむきながら答えてくれる
確信があったわけじゃないが、オレの直感はかなり当たる
案の定コレも正解だったみたいだ
「そこでだ、オレはこれから逃げる」
この言葉で3人ともオレの顔を直視する
「君達はどうする?」
3人とも何とも言えない顔だ
こいつらがどうするか、そんなことはどうでも良いが
逃げるというなら連れていってやる
「僕は・・・」
やはり迷うものだ、オレが言ったことはただの推測に過ぎない
だが、このオレの推測は理論を超えるレベルにあるだろう
「私は戦います」
開き直ったようにミルフィーユがこちらを見る
その顔には決意がこもっていた
「そうか」
オレがそう言うとミルフィーユの顔は一瞬ゆがんだ
けどすぐに元の顔に戻って門の方に行ってしまった