オレは左腕にささった矢を抜きながら思った
コイツもオレもだ
魔王だからと言って痛くない分けない
「ぁ・・・・・な・・・・・んで・・・・?」
ミルフィーユが目を開けてオレの方を見ている
顔に少し血が付いている
たぶん・・・・オレのだな
「今は戦え」
オレの両腕についたリングから、
先に刃がついた鎖が出てくる、コレがオレの特殊武器
丸いリングから六つの鎖が出てくる
このリングはオレの力を封じる役目とこの特殊武器の役目をしている
元々はオレの力を封じる物だったがオレが改造した
腕を振るとその鎖がモンスターを襲う
魔力が込めてあるのでかなり動きやすい
モンスターを引き裂き他のモンスターも襲う
指で細かい操作をおこなっている
オレは鎖をモンスターの群れの中に入れてオレに敵意を持ってもらう
コレで少しはミルフィーユの戦闘が楽になっただろう
この鎖にはまだ秘密がある
リングに念を込めると鎖がピアノ線みたいに細くなった
それを器用に操り魔物に絡める
一気に腕を開くと魔物はバラバラになる
オレは力を封じられても十分強い
魔物はみんな倒した
オレはミルフィーユに近づき
『パンッ』
顔を平手でたたいた、そこまで痛くないだろうが気持ちだけだ
ミルフィーユは当然だと言うような顔をしている
「何であんなムチャをした」
オレはあまり恐い声ではないと思う
「・・・・・」
ミルフィーユは目を逸らそうとする
だがそんなことを許すオレじゃない、クイッとあごを持ち上げ目を合わせさせる
「・・・・・」
それでも何もしゃべらない
ハァ、一度ため息をついてオレが言葉を発する
「大怪我するところだったんだぞ?国民を助けようとするのは良いが
もう少し自分を大事にしろ」
この言葉にミルフィーユは何故か驚いている
「確かにお前は勇者だ、魔王を倒し人々を守るのが役目かも知れない
でもな?お前も人なんだ、何処にでも居る女の子なんだ、だから無理するな
もう少しわがまま言ったって、自由になっても良いと思う」
なんだか自分に言い聞かして居るみたいだった
ミルフィーユは顔をゆがめながらしゃべる
「でも、でも私・・・、勇者だから・・・、みんなの期待にこたえないと・・・」
今にも泣きそうな声だった
「ならその時はこう考えろ、お前が居なくなったら悲しむ人もいるだろ?
国民のことを考えずにその人たちの事を考えろ
まず自分の命のことを考えろ、
国民のことを考えるにしろ何にしろお前が魔王を倒さないと意味無いだろうが」
そう言うとミルフィーユはついに泣き出してしまった
ホントにどうすればいいのか分からない
強く言いすぎたか?
とにかく泣き止むまで抱きしめておくことにした