靴を履き替え今日は金曜日だったなと上履をバックに詰め込む
一応ここは上履きがある面倒な高校だ
もちろん体育館シューズは上履きと同じだ
もちろん一年と二年では靴箱の位置が違うので今は愛川が居ない
一緒に帰る言っていたので一応待つことにする、
声が聞こえるほど近くに靴箱があるのだが、こうしていると俺は優しいんだなと実感する
特にすることもなく俺はただ呆然と立っている
「先輩!あれ見てください・・・」
後ろからの愛川の声、校舎出口に指が伸びているので後ろに振り返らず前方を確認
みんなクラブに居るので誰も居ないはずの場所だ
見ると・・・・・、『いつもの』不良グループと女子生徒が見える
『いつもの』と言うと生徒会室を荒らしている馬鹿3人組だ
女子生徒のほうは・・・・・、どこかで見たことがある
女子生徒が一方的に絡まれている、あの不良たちもよく飽きないな・・・
「あれ・・・、うちの姉です」
ああ、そうか・・・・・
確かあれは愛川の姉だったな、クラスの生徒の顔も覚えられないとは・・・・・
「何してるんですかね?
姉さんはあまり面白くなさそうですけど、他の人は面白そうですね」
顔が見えないので表情は分からないがきっと愛川弟は笑顔だろう
これは助けなくてもいいのか?
いいんだろう、だって愛川弟は楽しそうだし
助けてくれとも頼まれてはいない
・・・・・帰ろうか、だがどちらにせよ不良たちが居るところは通らなければならない
なので俺は不良たちが居るところを素通りしようと歩き出す
不良たちと目を合わせないように、愛川姉と目を合わせないように歩く
ちょうど不良たちの後ろ・・・、
俺が不良たちの横を通るときにトンっと腕が不良Aに当たる
「何しやが・・・・・」
不良Aは何かを途中まで言ったが俺は素通りで逃げる
途中言葉が切れた理由は分からないが、一々絡まれなかったのでよしとする
どうにかやり過ごせたようだ、このまま家に――――――
「コラー!何やってるの!!」
どこかで聞いたことのある細い声
振り向くと不良と愛川姉・・・・・・一人女が増えている
・・・・・あれは誰だったか
よく思い出せないが見たことのある女だ
その女は不良に何か言っている、顔の表情からすると説教をしているのだと思う
だがもちろん不良たちには効果が無く
反対にその女も不良たちに囲まれる始末
よく不良たちに声をかけようと思ったものだ・・・・・
すごい正義感だ・・・・・俺にはとても出来ないことだ
・・・・・とんだ時間を食った、早く帰ってテスト勉強しなきゃならないんだ・・・・・
「あ!あれ噂の美珠先輩ですよ!?」
愛川弟が正義感のある女を指差しながらはしゃいでいる
・・・そうか、そういえばそうだったな
・・・・・帰るか
正門に向かおうと方向転換した瞬間また声が聞こえた
「花梨ちゃん!?お前ら何やってるんだ〜〜〜!!」
・・・今の声はいつも聞いている声だよな・・・
そう思い後ろを振り向いた
そこには勇敢に不良3人組の前に立ちふさがる男子・・・・・坂井
震えながらにして立ちふさがる姿・・・感動物だ
俺はそんな知り合いの姿に感動しながら立ち去る・・・