ジリリリリリリリリリリリリリリガシャン

 

「・・・・・・・起きあがれない」

 

朝、オレは低血圧なので朝に弱い

 

だから目覚まし時計は、いつも早めにセットしてある

 

5分くらい天上とにらめっこをし、起きあがる

 

まず、服を着がえ、歯磨きをする

 

台所に行き、昨日の特製弁当をレンジで暖める

 

その間にお茶を出しコップに注ぐ、『チン』と、暖まったという合図がなる

 

弁当とお茶をリビングのテーブルの上に置き、昨日もらったもう一つの割りばしで食べ始める

 

が、朝は食が進まないものだ

 

半分くらい残してしまった、残した弁当を冷蔵庫の中に入れる

 

「今夜の飯だな」

 

と、つぶやき家を出る、戸締まりは忘れない

 

時間に余裕がまだまだあるはずので、のんびり歩く

 

早すぎたか?オレの学園の服を着た人が居ない

 

いつもと同じ時間に起きたはずなのだが・・・・・

 

うで時計を見ると、まだ7時30分だった

 

HRが始まるのが8時40分、1時間10分も余裕がある

 

いつもはもうこの時点で8時だ、早くすぎる・・・・・

 

何が早かったのだろう?

 

目覚まし時計をセットし間違えたのだろうか?

 

どうやって時間をつぶそう?

 

など考えていたら、いつものコンビニに着いてしまった

 

弁当を買うべくコンビニの中に入る

 

「いらっしゃいませ〜」

 

あれ?なんだか聞き覚えがある女の人の声だ、

 

店長さんじゃない、いつもより早いからか?

 

「あれ?氷牙君?」

 

名前を呼ばれたような気がした

 

弁当売場に向かう途中の足を一度止める

 

だが、女の知り合いなんて居るはずもなく

 

聞き間違いだと自分に言い聞かせ、また歩き出す

 

「あの、氷牙君?」

 

また声がした、

 

今度は確実に『氷牙』と聞こえた

 

だが、オレに話を掛けてくるヤツなんて居るはずもない

 

他の人だろうと思い、足を進める

 

と、ココで前から頭をつかまれた

 

「およよ?常連さんや、呼ばれてますぜ」

 

この声は店長さんの物だ、ココで疑問が浮かんだ

 

「・・・・・・・・オレの名前知ってましたっけ?」

 

「前にズッコケ3人組に聞いた」

 

恐らくだが、ズッコケ3人組というのは櫟達だろう

 

そんなことより髪が乱れるから、頭を放して欲しい

 

「・・・・・・・・・弁当買いに行きたいんですが・・・」

 

「そんなことより、そこのバイトさんに呼ばれてるって」

 

やはりオレのことだったのか

 

何となくそんな感じはしていたが・・・・・・

 

声のしていた方を見ると・・・・・美珠が居た

 

「もう!酷いよ無視なんて!」

 

別にあまり怒っていないように見えたが、

 

手を腰にやり、ほっぺたを膨らませ『怒っている』をアピールしている

 

ココに櫟たちが居たら、明らかに歓声を挙げているだろう

 

「・・・・・・・オレが呼ばれているとは思わなかった」

 

自分の思ったままを口にした

 

当たり前だ、オレに話を掛けるのは櫟,坂井、雅、店長以外居るはず無いと思っていたのだから

 

「なら振り向くだけ振り向いてよ!」

 

最もだな

 

だが、面倒なことはしない主義なのだ

 

それに、間違いだったら恥だろう

 

「なんだか今日早くないか?」

 

今度は後ろからの店長さんの声、

 

恐らくオレに言っているのだろう

 

振り向きながら答える

 

「・・・・・・目覚ましセットし間違えたんだと思います」

 

確信がないので少し小さな声で言う

 

すると店長さんは

 

「オレの声には反応するんだな」

 

と、少しからかうように言う

 

なんとなく面白くない、

 

だが、店長さんと口げんかしても勝てるわけがないで

 

「・・・・・どうでも良いですから頭放して下さい」

 

と、一度話題をそらす

 

「おお、悪い悪い」

 

パッと頭を放してくれたが、もう髪の毛はグシャグシャだ

 

仕方なく手で髪を直す、案外衣服や髪には気を使っているのだ

 

直ったところで

 

「・・・・・そこ退いて下さい」

 

オレがここに来た目的は弁当だ、

 

弁当売り場に行く道をなぜか店長さんがふさいでいる

 

          ・・・・・・理由は何となく分かるのだが

 

「なんで?」

 

「・・・・・弁当売場に弁当を買いに行きたいので退いて下さい」

 

「よくできました〜」

 

と、笑い、退いてくれる

 

いつも、『物事は最後までちゃんと説明する』とオレに教えこんでいる店長さん

 

なんだか父親・・・・にしては年が近い、どちらかと言えば兄みたいな存在だ

 

それに店長さんは頭が良いので、試験前などに勉強も教えてもらっている

 

弁当を選びに弁当売場に足を進める

 

ココの弁当は全部で30個ほどある

 

だが、オレが買うのはいつも230円の弁当だ

 

230円の弁当を持ってレジに向かう

 

朝早いからかレジにはだれもいない、オレ一人だ

 

無言で弁当をレジにいる美珠に渡そうとする

 

と、ココで店長から

 

「おっと、言い忘れてたが、今オレがレジじゃないから値引きしてやらんぞ」

 

と、衝撃の一言が

 

美珠に渡そうとした弁当を引っ込め

 

「・・・・・マジですか?」

 

と、店長をにらみながら再確認

 

「マジです」

 

店長が嫌な笑みをうかべる

 

今日は520円しか持ってきていない

 

230円の弁当を200円に値引きしてもらわないとオレの計算が狂う

 

昼の弁当&お茶で320円

 

帰りにもう一つ弁当をかって丁度520円の計算なのだ

 

ハァ、と、深いため息を付きそこら辺にあるイスに腰をかける

 

「残念だったね」

 

と、意味ありげな笑みをうかべている美珠

 

時計を見ると今は7時40分

 

「・・・いつごろ交代なんですか?」

 

と、レジのお金を数えている店長に呼びかける

 

店長はお金を数えながら

 

「8時」

 

と、2文字で答えた

 

あと20分、正直暇だ

 

ココに居るんだから値引きしてくれればいいのに・・・

 

客も居ない中、無言だと気まずいな

 

仕方なく店長にちょっかいを出すことにする

 

「・・・・・店長、彼女どうなりました?」

 

「聞かないでくれ」

 

どうやら良くない展開らしい

 

見るからに落ちこんでいるのが分かる

 

ますます話題が無くなった

 

7時42分、まだ2分しか経っていない

 

「・・・・・暇です、」

 

「そうだな」

 

不意につぶやいた一言に店長が答える

 

だれのせいでこんな事になっているのか分かっているのだろうか?

 

「どうせ学校にいても暇なんだろ」

 

お金を数え終わり、立ち上がる

 

確かにそうだ、学校に行ったからってあまり変わらないだろう

 

だが、ココに居る理由にはならないと思う

 

「それに、こんなに可愛い嬢ちゃんと居られるんだ、ありがたいと思え」

 

オレにけん玉を渡しながら言う、やっていろと言う意味だろうか?

 

可愛い嬢ちゃんというのはきっと美珠のことだろう

 

自覚しているのか、美珠の顔が少し赤いような気がする

 

「・・・・・もっしもっしかっめよ、かーめさーんよ」

 

イスに座ったまま、かんこんかんこん音を立てけん玉をする

 

けん玉は得意だ、店長もけん玉をするがすでに持ち方自体変だ

 

歌を歌い終わるのと同時に、凸を玉の凹の所にさす

 

「わー、すごーい!」

 

歓声を挙げながら手をパチパチたたく美珠

 

店長は自分のけん玉に熱中している

 

正直大人げないと思う、

 

「ねー、どうやったらそんなに上手くなるの?」

 

と、言う美珠

 

仕方なくコツなどを教えて居る間にもう8時になってしまった

 

その間客が入ってこなかったのがおかしいと思う

 

恐らく、けん玉に熱中しているオレ達を見て帰っていったのだろう

 

「・・・・・店長8時になりました」

 

「あっそう、お金レジにおいといて」

 

と、やる気のない返事を返されてしまった

 

店長は今だけん玉をやっている

 

200円をレジに置き、弁当とバックを持って店の外に出ようとする

 

「あ、ちょっと待ってて」

 

店からの呼びかけ、恐らく美珠の声

 

ふり返るとけん玉に熱中する店長しか居ない

 

聞き間違いか?と、首をかしげる

 

「待っててね〜」

 

と、奥の方からはっきり聞こえた

 

仕方なく待つこと5分

 

奥の方から美珠が走って出てきた、学校の制服に着替え学校のバックを持って

 

「あ、よかった、待っててくれた」

 

走ったせいか少し息切れしている

 

息が整うまで待つ、息が整うと美珠が

 

「うん、じゃ、行こっか」

 

「・・・・・?」

 

今のは聞き間違いだろうか?

 

いや、聞き間違いだろう

 

そう自分に言い聞かせながら美珠の目を見ると

 

「どうしたの?早くいこ?」

 

と、首を傾げながら問いかけて来る

 

今のははっきり聞こえた、

 

だが、オレは疑り深い

 

それに、美珠も勘違いをされたら困るだろう

 

「・・・・・行くって学校に?」

 

「え?学校以外どこか行くの?いいよ私付いていくよ?」

 

学校以外にはどこにも行かないが予想外の言葉に驚いているのだ

 

「・・・一様聞いておくけど、それって一緒に学校に行くのか?」

 

「うん」

 

目線を逸らし、少し顔を赤く染めながら答える美珠

 

何となく店長を見ると予想どうりニヤニヤしている

 

あぁ、そうか、はめられたんだな、と今ごろ理解する

 

「いや・・・・・かな」

 

と、目線を逸らしたまま美珠がつぶやく

 

嫌じゃないな、

 

だが、あとで櫟たちになんて言おうかなんて考えながら

 

「・・・いいよ、早くいこ」

 

と、素っ気ない返事をする、だがオレには目一杯の言葉だ

 

すると美珠は笑いながら「ありがとう」と言った

 

『早くいこ』には、照れかくしと店長がむかつくからの意味がこもっている

 

店を出てから思った

 

『あ、今日の朝はいつもとだいぶ違うな』と・・・・・